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水族館はお客様を笑顔に
私は職員さんを笑顔に

NB開発本部 デジタル事業部 デジタル事業グループ Kさん

横浜・八景島シーパラダイスでのIoT導入プロジェクト。デジタル事業部のKさんとリックス営業担当が協力して、水槽の水をつくる水処理設備向けにIoT無線センサーを活用したシステムを提案。お客様に寄り添い、現場の課題を徹底的にヒアリングすることで、塩害対策など細部にまでこだわった提案を実現。使いやすさと安心を両立したプロジェクトの舞台裏に迫る。

水族館の課題に寄り添う、デジタル技術の提案

東京湾に面した横浜・八景島シーパラダイス。年間を通して多くの来場者で賑わうこの場所では、水槽の安全と生物の健康を守るため、日々の細やかな点検が行われている。

人手で行われていた業務を効率化するべくKさんとリックス営業担当は動き出す。ロボット点検や無線センサーなど、多様なデジタル製品を扱う部署に所属するKさんは、営業担当とともに顧客を訪ね、最適なデジタルソリューションを提案する日々を送っていた。

「最初は圧力センサーに興味を持っていただいたのがきっかけ」とKさんは振り返る。

水族館は膨大な量の水を管理しており、その安全性を保つため、多くの圧力メーターが設置されている。点検担当者は毎日、これらのメーターを一つひとつ目視で確認し、記録するという膨大な作業をこなしていた。
当初の要望は「角度センサーとタブレットを使って日常点検を効率化したい」というものだった。しかし、Kさんは単に製品を販売するだけでは根本的な解決にならないと感じた。「角度センサーだけでは、お客様のご要望に完璧にお応えするのは難しい。全体のシステム開発も含めて、当社がまとめてご提案する形が最善だと考えた」と語る。

この提案が、横浜・八景島シーパラダイスとリックスを結ぶ、2年間にわたる壮大なプロジェクトの幕開けとなった。

2年間、お客様と共に歩んだシステム構築の道のり

このプロジェクトは、足掛け2年、十数回にわたる訪問を重ねてようやく完成した。

Kさんはまず、お客様の「どんなシステムが理想か」という漠然としたイメージを、丁寧にヒアリングするところから始めた。何度も水族館の現場に足を運び、現地の担当者と対話を重ねる中で、システム構成を提案し、フィードバックをもらう。その地道な繰り返しの中で、少しずつ理想の形が見えてきた。

「お客様とのやり取りを重ねるうちに、『これだ!』という、求めていた理想の姿が徐々に形になっていく」とKさんは目を輝かせる。

プロジェクトが具体的に進むにつれ、現場からは「圧力だけでなく、温度も測りたい」といった新たなアイデアが次々と生まれた。Kさんたちはこれらの要望を一つひとつ丁寧にシステムに組み込み、より多機能で、現場に寄り添ったシステムへと進化させていった。その結果、これまでは点検担当者が手作業で行っていた業務のうち、約4割を削減することに成功した。

現場に通い続けることで見えた細やかな配慮

Kさんがこのプロジェクトで最も大切にしたのは、「お客様の立場に立つこと」だった。

「どんな仕事をしていて、どのような点検をしているのかを把握しなければ、良い提案はできない」。現場の設備担当者から、日々の業務内容や苦労話まで、詳細にわたってヒアリングを重ねた。

特にKさんが意識したのは、水族館ならではの特殊な環境だ。横浜・八景島シーパラダイスは海に面しているため、電子機器を屋外に設置する上で潮風による「塩害」というリスクが伴う。

Kさんは言う。「業界のことを知らなかったので、特にこの塩害対策には気を使った。製品のスペックに問題がないか、細かく調べたし、防水ボックスが必要になるだろうと提案した」。現場を実際に歩き回り、五感で環境を感じ取ったからこそ気づけた、細やかな配慮だった。

製品ありきではない、真の課題解決力

今回のシステム導入にあたり、リックスが担ったのは、単にセンサーや通信機器を提供するだけではない。

Kさんは「古くなった圧力計の交換といった工事一式も、当社が請け負った」と語る。リックスは、システムの設計から、多岐にわたるメーカーのIoT機器や通信機器の調達まで、すべてを一括で引き受けた。

「様々な会社の製品を組み合わせて、お客様にとって最適なシステムとして提案できるのは、弊社の強みの一つ」とKさんは胸を張る。メーカーのカタログに載っている製品をそのまま使うだけでは、お客様の抱える複雑な課題に完璧にフィットするケースは少ない。リックスは特定のメーカーに縛られることなく、複数の製品やシステムを組み合わせることで、より良いソリューションを創り出す。この柔軟な対応力こそが、リックスの真の課題解決力だと言えるだろう。

プロジェクト完了後、Kさんは担当者から「とても使い勝手がいい。今回の発注をしてよかった」と、満面の笑顔で高評価のフィードバックを受け取った。そのときの達成感は、今でも忘れられないという。

現場の声に寄り添う、私たちの挑戦は続く

Kさんは語る。「システムの部分だけを考えるのではなく、現場の状況を深く理解しようとすることが、当社の強み。実際に現場に入って、お客様のニーズを肌で感じているからこそ、お客様に合った複数の選択肢を提案できる」。

八景島シーパラダイスとのプロジェクトを通して、Kさんは、ただモノを売るのではなく、お客様の課題に真摯に向き合い、共に解決策を創り出すことの重要性を改めて実感した。他の水族館でも同じような課題があるかもしれない。今後も、Kさんはお客様の現場に深く入り込み、その声に耳を傾けながら、デジタルの力で多くの現場を笑顔にする提案を続けていく。