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顧客の背景を読み取り現場へと声を紡ぐ

生産本部 継手技術営業グループ Mさん / Tさん

“メーカー商社”リックスは、産業界向けに幅広い製品を製造・販売している。中でも主力自社製品「ロータリージョイント(回転継手)」を製造・販売する際、顧客と製造現場、そして営業の間に立ち、複雑な課題を解決に導くのが「継手技術営業グループ」だ。

入社以来、技術営業として経験を積んできたTさんは、工場の窓口として、営業からの引き合いを技術的な視点からサポートする。「受注を取るために、工場内の関係者と動きながらサポートする」と、その役割を語る。一方、マネージャーのMさんは、仕事の難しさをこう指摘する。「当社で製造しているロータリージョイントは、なかなか目に触れるものではないので、非常に分かりにくい。営業側でも気づかないような製品の潜在的な用途を見つけ出すことが、技術営業の使命だ」と言う。

技術営業が単なるサポート役に留まらないのは、その能動的な姿勢にある。Tさんは、能動的な動きを意識するきっかけとして、Mさんの言葉を挙げる。「『なんでお客様はこのロータリージョイントが必要なのか、どんな課題を解決したいのか、その背景をくみ取ってほしい』」。この言葉から、Tさんは営業から仕事の依頼があった際、顧客の工程図やHPなど様々な情報から「こういう理由で必要なのかな」と仮説を立て、自らの理解を深めて臨むことを心がけるようになった。

全社を巻き込む「旗振り役」としての矜持

リックスにおいて、継手技術営業グループは文字通り「旗振り役」であり、その役割は多岐にわたる。Mさんは「大きく言うと、全てに携われる」と語る。顧客との打ち合わせから、要求を製造側に正確に伝達し、ものづくりの起点を作る。設計部門とも連携し、さらに広く見れば「材料の調達からお客さんに納品するまで全てを我々は見るチャンスがある」という。

Tさんもまた、その役割を「私たちの役割は、各部署の専門家たちを巻き込んで、一つの目標に向かって協力体制を築くこと」と捉えている。しかし、そのためには全社の信頼が不可欠。Tさんは入社当初から「その都度、現場に行って話をする」ことを心がけ、地道なコミュニケーションを通じて協力を仰いできた。

Mさんも、そのコミュニケーションの重要性を強調する。「『営業から言われたからやって』じゃなくて、お客様もこういうことがしたくて、わざわざ我々に言ってくれているっていうのを、ちゃんと伝達しないと回らない」。顧客の意図を深く理解し、それを自分の言葉で社内に伝える。この「翻訳者」としての役割が、社内を円滑に動かす鍵となっている。

"オールリックス"で臨んだプロジェクト

若手のTさんが中心となって進めたのは、旧型を新型ロータリージョイントに置き換える開発プロジェクトだ。

顧客の課題は、製品の寿命を延ばし、環境負荷やコストを削減すること、そして人手不足の中での交換作業の手間を減らすことだった。
このプロジェクトでは、全社を巻き込むTさんの「旗振り役」としての手腕が光った。営業と協力して新型の説明に回り、製造部門の生産中止宣言にともなう営業からの問い合わせに対応。さらに、設計部門から「依頼が多すぎて進捗管理が難しい」という相談を受け、そのフォローにも奔走した。

この全社的な取り組みに対し、Mさんは営業側の協力にも「どの顧客は対応済で、ここはまだ提案できていないなど、情報をしっかり取りまとめてくれた。非常にやりやすかった」と感謝する。

結果的に、新型ロータリージョイントは旧型と比べて寿命を2倍に伸ばし、顧客の期待に応えた。このプロジェクトを通じて、Tさんは大きな学びを得たという。

「ロータリージョイントの理解度が上がったことはもちろん、お客様の課題を解決するため“オールリックス”でどのように進めていくのが良いか、網羅的に学ぶことができました」。今後も、全顧客への切り替え完了に向けて旗振りは続いていく。

失敗を恐れず、ものづくりを間近で

「お客様を近く感じられること」とMさんは、リックスの強みを語る。

メーカー商社という業態ゆえ、営業担当が現場に深く入り込むことができ、技術営業も同行して顧客の声を直接聞くことができる。この経験が、顧客の要望の背景を理解し、ものづくりに反映させる原動力となっている。

Tさんもまた、この仕事の魅力に惹かれている。「お客様は鉄、自動車、半導体など多岐にわたる」。仕事は多忙を極めるが、「いつも新鮮な気持ちで臨めています」。

TさんはMさんを「悩んでいることがあると、気づいてサッと声をかけてくれるし、何かあっても最後はMさんがいる」と上司として尊敬しており、「だから私は思い切ってチャレンジできている」と語る。

Mさんも、「Tさんは入社当初からやる気とガッツがあると思っていました。一生懸命やるので、そこはすごく彼女の魅力。ちょっと困難な案件かなって思っても、乗り越えられるかな」と期待を寄せている。

未来の仲間へ

最後に、二人から未来を担う学生へのメッセージが送られた。Tさんは「リックスの人たちは、どんなに忙しい時でも、お客様の要望や背景をしっかり伝えると、前向きになんとかしようとしてくれる」と社内の協力的な風土を語る。
一方、Mさんは「失敗を恐れず行動する人」にエールを送る。「失敗はしていいと思っている」と将来、後悔しないためにも、行動することの重要性を説く。「ものづくりを間近で見れます。1からものづくりを見てみたい人は、ぜひチャレンジしてほしい」。技術営業という仕事を通じて、顧客、そして全社と向き合い、自らの手で未来を切り開く彼らの姿は、まさにリックスの「旗手」そのものである。